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2003年10月17日金曜日

第19回 カトリック医療関連学生セミナー報告

第19回 カトリック医療関連学生セミナー報告及び次回予告
長崎支部 山下俊一 芦澤潔人  長崎大学医学部学生 井手昇太郎

第19回カトリック医療関連学生セミナー報告  長崎支部 山下俊一・芦澤潔人
第19回カトリック医療関連学生セミナーを平成15年8月29日~31日長崎市で開催した。
長崎での開催は第1回目から実に19年ぶりである。
会場は純心学園の江角記念館と長崎大学医学部のポンペ会館で行った。
今年の夏は長崎夢総体と重なり、8月最後の開催となったが学生24名、一般49名、講演者8名、韓国からの参加者5名の計86名の参加であり、これ以外に参加申し込み者は7名(欠席)であった。
長崎での開催ということでテーマは永井隆を学ぶとした。
昨年ソウルの世界カトリック医師会会長より永井隆先生の列福運動を行いたいとの提案をうけて、長崎から世界に向けてどのようなメッセージを出すべきか検討するきっかけとした。


講演は永井隆先生を隊長とする第11医療隊で救援活動に従事し、長崎大学医学部附属病院前看護部長であり、如己の会副会長の久松シソノ様が【私の被爆体験、永井隆博士と共に】という題で当時の生の声を語って下さった。
また如己の会会長で、永井隆先生の弟子である浜里欣一郎先生には、多くの写真を供覧いただき【命つきるまでと】いう題で永井隆先生の一生をまとめていただいた。
長崎大学教育学部教授 高橋眞司先生には、【緑色のまなざし】という題で哲学的に永井隆先生を解説していただいた。浦上幡祭説についての解釈の話も聞くことができた。緑とは永井隆婦人のことである。
日本二十六聖人記念館館長の結城了悟神父には、【永井隆の十字架の道行】という題で、永井先生が描いたとされる絵画から永井先生の人となりを解説していただいた。


29日の夜は懇親会後にビデオ【知っているつもり】より【永井隆】を上映しテレビの大画面を通じて再度永井隆を振り返った。永井隆の列福問題は大きなテーマではあるが、長崎からこのような声があがる予感がする。
このほか長崎カトリック医師会の指導司祭の山内清海神父は、永井隆士のような人物を輩出した【長崎の信仰】について、また臨床パストラル教育研修センター所長のキッペス神父には【スピリチュアルケア】について、全人的医療について少々難しい話を聞かせていただいた。
また全国かくれキリシタン研究会理事 荒木英市様には、【九州のキリシタン墓碑】について、ご自身が長年現場を訪れた細かい観察に基く非常に興味深いお墓の話をしていただいた。


最終日には、長崎大学原研教授で長崎カトリック医師会支部長の山下俊一先生から、【永井隆精神の継承】ということで、チェルノブイリ事故後の健康影響、核実験跡のセミパラチンスクでの医療支援などご自身の活動を紹介しながら、ビデオを供覧し、国際貢献と医療と放射線について講演された。
また30日の午後は原爆資料館を見学後、外海町の出津文化村を訪れ、遠藤周作記念館とド・ロ神父記念館、出津教会を訪れた。ド・ロ神父は深い人類愛の精神とすばらしいフロンティア精神をもって、外海地方の産業、社会福祉、土木、建築、医療、移住開拓、教育文化に貢献したフランス人宣教師である。


この夜はバーベキューをして心行くまで親睦を深めた。
今回は韓国カトリック医師会から朴先生をはじめ5名の会員を招待した。朴先生婦人、医学生2名、看護学生2名であった。友好のうちにセミナーは進行し、いつの間にか学生同士で会食しながら話がはずんだ。これからもこのような有効関係が続くことを約束した。


今年は冷夏で3日とも天気予報ではぐずついた予報であったが、すべての行事を滞りなくすすめた。
31日の朝は浦上天主堂で早朝のミサに授かった。天主堂に入る寸前に激しい雨がふった。
この日偶然聖フランシスコザビエル島本大司教様の1周忌にあたり、涙雨にも思えた。
最後に長崎の地でこのようなセミナーが開催できたことに感謝する。

第19回カトリック医療関連学生セミナー報告 井手昇太郎(長崎大学医学部4年)
8月29日から31日にかけ、第19回カトリック医療関連学生セミナーが開催された。
第1回目は長崎で開かれ、20年が経つ。
今年のテーマは「永井隆を学ぶ」。医者であり、カトリック信徒であり、また被爆者でもある永井隆は、長崎では誰もが知るところである。
被爆地長崎での開催で、その永井隆を日本に、世界に発信できたらとの思いが込められている。

講演では、今まで知ることのなかった永井隆の生き方を様々な面から知ることが出来たと思う。
永井隆のことをあまり知らなかった方も、その生き方を感じることが出来たのではないだろうか。
また講演のみならず、原爆資料館やキリスト教ゆかりの地の散策を通して、長崎に根付いているキリスト教の文化を感じて頂けたのではないか。

一日目には親睦会、二日目はバーベキューもあり、講演・討論以外の部分でも諸先生方、学生と交流を深めることが出来た。
日本以外からも、韓国から朴先生と奥様を始め、3人の医学科・看護科の学生も参加して頂いた。
韓国の学生とは、セミナー終了後にも一緒に観光や食事をし、小さな国際交流をする事が出来た。
今後も日本の学生だけではなく、同年代のアジアの学生と交流がもてるようなセミナーであると良いと思う。

最後に、今回のセミナーが無事に終わったことに感謝し、来年からも活発なセミナーが行われるよう祈りたい。

予告:第20回カトリック医療関連学生セミナー
日時:平成16年8月27日(金)午後から29日正午
場所:山口市
テーマ:フランシスコ・ザビエルと殉教者たち -- 長崎から山口・津和野へ

申込など詳細は来春カトリック新聞・ホームページに掲載します。